ベーからの手紙      

No 120.DEC.23. 2005.



元気ですか?
雪が降っています。
もうすぐクリスマスですね。
今日は、クリスマスにちなんだ1冊の本のお話です。



本の題名は、「名作に描かれたクリスマス」(岩波書店刊)。
先月、11月18日に出版されたばかりの新しい本です。
世界中にたくさんある、子供のためのわくわくするお話。
たくさんの本の中から、イギリス・アメリカ・ドイツ・スウェーデンなどの
素敵なお話が選ばれました。
選ばれた理由は、お話の中にクリスマスの光景が描かれていること。
きっとみなさん、「あぁ、その本、読んだことがある。」とニッコリされると思います。
「ナルニア国物語」「家なき子」「クリスマスキャロル」「メアリー・ポピンズ」
「若草物語」「やかまし村」「レ・ミゼラブル」「くまのパディントン」・・・・。
日本ではクリスマスにはケーキを買って食べるけど、
クリスマスって本当は何なんだろう?
サンタクロースって、本当は誰?
ヨーロッパやアメリカでは、どんなクリスマスを過ごすの?
なつかしい子供の本の中の、たくさんのクリスマスの光景。

この本を書いた人は、今年の秋に原稿を書き上げながら、
激しいせきが止まらなくなったそうです。
 「もう入院しないとだめです。いつ何があってもおかしくない状態ですよ。」
と、病院の先生。
 「あと少しだけ待って下さい。」
3日間、止まらないせきに苦しみながら、その人は机に向かいました。

10月28日。 救急車で入院。
出版社の編集の方との仕上げの打ち合わせは、病院のカフェで。
11月18日。 出版。
病院に届いた美しい本.。  「よかった・・。」
 
11月25日。
僕のママは、東京の病院のベッドの脇に座っていました。
東京で1人暮らしをしていたママのたった1人のお姉さんは、
ベッドの上で、首を横に振ることと、うなずくことしかできなくなっていました。
夜。 お姉さんとママ。 2人だけの静かな病室。
窓辺には、1冊の真新しい本。 「名作に描かれたクリスマス」。
天使がお迎えにやって来ました。
お姉さんは、愛し続けたたくさんのクリスマスのお話と一緒に、
空へ旅立って行きました。

遺されたスケジュール帳には、来年までの予定がびっしりと書きこんでありました。
「11月26日 退院
 11月30日 江東区でクリスマスの講演
 12月8日〜  ベルリン、 ポツダム、 ストックホルム・・・
 12月24日 教会で洗礼                      」
仙台へ帰って来て街に流れるクリスマスソングに耳を澄ませた時、
ママは思わず涙が流れてきたそうです。
毎年、お姉さんがクリスマスを過ごしていたドイツ。
きっと、今年は姿を現さなかった日本の友人のために、涙を流してくれている
ドイツの心やさしい人々がいると思います。

ママが留守の間、ヨハンは、あゆちゃんと散歩したり、ひろちゃんと歩いたり、
訓練所に泊まったりしました。
いつもと違う毎日に不安だったのか、とても甘ったれになってしまったみたいです。

( 若林 ひとみ著  「名作に描かれたクリスマス」 岩波書店
             「クリスマスの文化史」 白水社
  他に、たくさんの児童文学の翻訳作品が出版されています。
  何かの機会に本が目に止まりましたら、お読みいただければ幸いです。
  
  新春に日本で上映予定のドイツ映画
        「白バラの祈り  ゾフィー・ショル 最期の日々」
  ゾフィーの生涯を描いた本は、
        「白バラが紅く散るとき ヒトラーに抗したゾフィー21歳」
          ヘルマン・フィンケ作  若林 ひとみ訳  講談社文庫  )


                 今日はここまで。 みなさんに、メリー・クリスマス!
                          
                                        Beethoven




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