ベーからの手紙      

No.133 DEC.31.2007

 
 元気ですか?
 今日は、雪が降っています。
 久しぶりの雪、12月になって初めての雪です。
 西公園では除雪車が2台、11月からじっと出番を
 待っています。


12月のお店は、忙しい日が続きます。
あゆちゃんやひろちゃんが小さかった頃、お店が忙しい時は、おばあちゃんが
よく2人の面倒をみてくれました。
僕が元気だった頃は、お店のアルバイトをしているお兄ちゃん達が僕と西公園を
歩いてくれました。
でも今のお店は、パパとママの2人だけ。
お客様が続けておいでになったり、コーヒーを贈り物の箱に詰めたりする仕事が
続くと、ヨハンのことはどうしても後回しになります。
 「ごめんね、ちょっと待っててね。」
外に出て用を足したい、と切ない目つきで訴えかけてくるヨハンに、パパとママは
声をかけて我慢させます。

この前の土曜日も、忙しい時間がずっと続きました。
ちょっと空いた時間に、ママはヨハンの夕食を用意します。
カップ4杯のドッグフードにひたひたの水を入れ、食器を持って階段を上がり
かけました。 2階の踊り場では、ヨハンが今か今かと食事を待っています。
ちょうどその時、カランカラン、とドアベルが音を鳴らします。
お客様が何人もお店の中へ。 「いらっしゃいませ。いらっしゃいませ。」
パパのあいさつの声に、ママはあわてて食器を階段に置き、店へ戻ります。
また、忙しい時間が続きました。
2階にいるヨハンからは、階段の下の方に置いてある食器が見えます。
伏せておとなしくじっと待つ、「おあずけ」をくらったヨハン。
行儀のいいヨハンは、自分が階段を下りて黙って食べてしまうなんてことは
思いつきもしないんです。
待ちぼうけで疲れてきたヨハン、あきらめて目をつむり、そして、いつのまにか
眠ってしまいました。

眠りながら食べ物の匂いに鼻をひくつかせ、ふっとヨハンが目を覚ましたのは、
それからだいぶ後のことでした。
仕事が一段落したママが、寝ているヨハンの顔の前に夕食を差し出します。
 「はい、お待たせ、ヨハン。」
すぐに体を反転させて飛び起きたヨハンはお腹が空いていたのを思い出し、
大急ぎでドッグフードを口にしました。
でも口に含んだ途端、妙な顔をしました。
なんか、いつもと違うぞ、って。  それもそのはず。
時間が経つうちに、硬いドッグフードは食器にいっぱいの水をすっかり吸い込み、
大きくふくれ上がってしまったのです。
いつもはカリカリと歯ごたえのあるドッグフードが、ホニャホニャとおかゆのように
やわらかくなっています。
ちょっと変な顔をして、食べるのをやめて考え込んだヨハンだけど・・、
またすぐにパクパクと食べ始めました。
水でふくれたドッグフードをぺろりと空っぽにするまで。

そう、お店が忙しい時は、ぜいたくは言ってられません。
僕だって、ずいぶんいろいろと我慢をしたものさ。
おばあちゃんがお店に来ない日、忙しいと、ママは幼いあゆちゃんにいつも
こう言ってそばを離れました。 「ちょっと待っててね」
待たされるのが「ちょっと」じゃないのを覚えたあゆちゃんは、
必ずこう答えました。 「待ってらんない!」
我が家を終の棲家(ついのすみか)と決めたヨハンは、「ちょっと待っててね」と
言われると、階段を下りるママの背中を見送り、不満げな大きな鼻息をひとつ。
そして、あきらめて眠ります。

だから、一緒に過ごせる時は、できるだけ家族一緒にいたいのです。
きのうの夜は、みんなで西公園の反対側のはずれへ歩いて行って来ました。
機関車が色とりどりにきれいに輝き、通りのずっと向こうまで
灯りでキラキラしていました。

   では、みなさん、また来年お会いしましょう。   
                    今日はここまで、またね。 
                                 Beethoven

西公園の臨時駐車場には観光バスがいっぱい

展示してある機関車の年に1度の晴れ舞台

定禅寺通りのけやき並木

みなさま、どうぞよい年をお迎え下さい
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