ベーからの手紙      

No.162  2014年1月8日

 元気ですか?
 新しい年が始まりましたね。
 うちの店がスタートしてから30年以上が経ち、
 それはつまり、2代目ベートーベンだった僕が
 生まれてからも30年が経ったということです。
 我が家のセント・バーナードとして4代目のバナ子も
 今月の25日でもう7才。
          時間が流れるのは本当に早いものです。


30年の間に、いろんなことがありました。
店は引越しを2回、そしてあゆちゃんとひろちゃんが生まれ、僕やヨハン、
バナ子と一緒に大切な時間を過ごしてきました。
今は2人とも家を離れ、あゆちゃんはバスと自転車で職場へ通い、
ひろちゃんは東京で大学生活を送っています。
休日もほとんどいつも一緒に過ごしていた家族がそばを離れていき、
大病が続いたバナ子の様子も一段落したところで、
去年の秋から、店以外の場所でもコーヒーの販売を始めました。
30年が経って初めてのことです。

400年前、仙台藩のお殿様だった伊達政宗という人が、大きな津波で
たくさんの人や家が流されてしまった藩を生き返らせるために、遠く離れた
メキシコと貿易をしようと考えて大きな船を造らせたそうです。
その頃、メキシコはヨーロッパのスペインの植民地だったので、スペインの
王様の許しが必要だったみたいです。
伊達の殿様の家来たちは、2年半かかって海を越えてスペインへ着いた
そうです。

このお殿様が身につけていた鎧や兜、家来の中の団長だった支倉常長と
いう人のスペインで描かれた肖像画、そして、海を渡ったサン・ファン・
バウティスタ号をデザインした新しい品を、うちの店で作りました。
これが完成するまでは、本当に大変だったみたいです。

殿様の家紋を使う許可をいただいたり、兜や鎧の細かい部分についてまで、
博物館で専門のお仕事をしている人達にたくさんのことを教えてもらったり、
何ヶ月もの間、パパはあちこちへ足を運んでいました。
デザインが出来上がっても、「これでは殿様の子孫の方が認めないと思う。」
「これは違う。」 「ここがだめ。」 ・・・やり直しが続きました。

兜に大きな三日月がついてるんだけど、これが少し傾いています。
どうしてだかわかりますか?
武士は、戦場で刀を持って闘います。
刀を振り上げた時に、月にぶつからないようにずらしてあるんですって。

長い時間をかけてようやくデザインが出来上がり、コーヒー豆を入れる缶を
作りました。
ところが、なかなか思うような色で仕上がらなかったみたいです。
缶を作る会社の方が、1度は作り上げたたくさんの缶を、理想の色を出す
ためにもう1度作り直して下さったそうです。

完成した品は、博物館やデパート、ホテルなどにも並びました。
店が生まれて30年目の、新しいスタートです。

バナ子は、仙台の観光の宣伝であちこち飛び回っている“伊達武将隊”の
中の1人、支倉常長役の人と、店の前で並んで記念撮影。
その写真が載った武将隊のブログを見た人が、
 「バナ子ちゃんはいますか?」と店を訪ねてきます。 
さぁ、バナ子、寝てばかりいないで、店のために君もがんばれ!

                                今日はここまで、またね。
                                     
Beethoven

( “伊達な珈琲”の商品開発に当たりまして、関係各位の皆様方に
  たくさんのことを教えていただき、また、ご協力・ご尽力を賜りました。
  心より、感謝申し上げます。ありがとうございました。) 
                             


“伊達な珈琲”の3つのデザイン

ひろ、バナ子の前足をブラッシング中

続いて、しっぽをブラッシング中

ブラッシング終了、、あゆと散歩中
No161 No163