ベーからの手紙      

No.110.OCT .7. 2004.


 
元気ですか?
 仙台は、急に肌寒くなりました。
 ついこの間まで冷房をつけていたのに、今度は、
 朝晩は人間には暖房が欲しいくらいの気温です。
 つまり、僕達セント・バーナードにはうれしい季節、
 というわけです。


さて、Yさんファミリーのイタリア旅行、先へ進みましょうね。

 『 9月9日  ペルージャ 』
夜8時、ロンドンでの用を済ませて、ベルガモ空港へ到着。
イタリアで1番大きくて有名なセント・バーナードの繁殖犬舎、
”トッレ・デ・ペルージャ”のボノーミさんと待ち合わせの約束をしてあります。
ボノーミさんは、イタリア・セント・バーナード・クラブ(AISB)の会長さんです。
Yさんのイタリアでのスケジュールを連絡している時に、声をかけてくれました。
 「空港へ迎えに行くから、うちへ来ないか?」
もちろん、行かないわけがありません。
 「なにしろ田舎だから、自分で私の家を探すのは難しい。迎えに出るよ。」
ええっと、待ち合わせの場所は、「現金・クレジットカード支払い機の前」、 
目印は、「マーキュリー君の父犬のクリフ君」。
これなら間違いなくすぐに見つけられる・・・と思ったのに・・・、
空港には、セント・バーナードの姿がどこにもありません。
 「一抹の不安はあったんですよ。」と、Yさん。
 「グイドさんの家で、9日の夜はボノーミが『9時』に迎えに行くよ、と言われたんです。
  到着時間は『8時』です、と確認したら、グイドさんは、うん、わかってる、
  わかってる、って・・・。」
空港で待つこと30分。
やがて、品のいい長身の男性に声をかけられました。
ボノーミさんです。

車で、いくつかの町を通り過ぎます。
どの町でも、公園や家の前でおしゃべりを楽しむ人々の姿が見えます。
その姿は、夜11時を過ぎても絶えません。
30分程走って、さぁ、ボノーミさんの家に到着です。
とにかく広い、広い、広い!!
日本風の言い方だと、1000坪以上はあるんじゃないかなぁ。
たくさんのセント・バーナード達。
広い犬舎は、オスとメスの敷地に分かれているんですね。
オスの方が300坪くらい、メスの方は500坪くらい。
広い運動場は、きれいな芝生。
仲間達は、朝と夕方1時間くらいずつ、芝生で自由に運動するんですって。
あ! 芝生の広場を歩き回っていたYさんが、何かやわらかいのものを
踏んづけてしまったようです。 お気の毒・・。
それにしても、本当にりっぱな犬舎ですね。 Yさんは、こう言ってます。
 「1頭当たりの犬舎の面積は約10畳分。
  私は、これほど広くて清潔な犬舎を今まで見たことがありません。」
見事な邸宅の主、ボノーミさんは、こう言います。
 「この村の住民は11人しかいないんですよ。
  だから、犬達の鳴き声も全く平気です。」

家の中には、グイドさんと同じように、たくさんのセント・バーナード・コレクション。
Yさんがうちのパパの話をすると、「これだ、これだ!」とコレクションの
ガラスケースからボノーミさんが取り出した物は、うちのコーヒーの缶!
あのね、ボノーミさん、このデザインのモデルは、実は僕なんですよ。
僕もコレクションの1つになってるなんて、うれしいです。
へぇ、僕達が首につける樽も、いろんな種類があるんですね。
 「うん。このオランダ製の樽は、りっぱなんだが、とても重いんだ。」
いくつもの樽を見てきたYさんの結論です。
 「価格や品質を考えると、イタリアのAISBの樽が1番いいと思います。」

日本へやって来たマーキュリー君は、母犬のアリアンナに似ていると思ったけれど、
父犬のクリフ君とも顔がそっくりなんですね。 
 「クリフ・フォン・フーガホーフ」
ドイツの血筋のクリフ君の、血統書の名前です。
フーガホーフ家は、今もドイツに実在する貴族の家柄ですって。
 「クリフは、この日本車に乗って出かけるのが大好きでね。
  1度乗ったら下りてこないんだ。 見ててよ。
  クリフ! クリフ! 下りて来い!」
・・・ドイツ貴族は、日本の車がお気に入り。

ボノーミ・ファミリーは、明日の朝早く、サン・ベルナール峠へ向けて出発します。
夜遅くの別れ際、Yさんがボノーミさんに伝えたそうです。
 「そうそう。 ベートーベンさんは、メス犬を購入するために、
  あなたの犬舎を数年後にきっと訪ねますよ。」
夢は・・、いつの日か実現するためにあるんですよね。
                            
                          今日はここまで。 続きは、またあとでね。
                          
                                           Beethoven

塔のてっぺんは、お風呂ですって


この長身の方がボノーミさん

マーキュリー君の父犬・クリフ君

お気に入りの日本車

上から2段目・右側にベートーベンの缶
No.109 No.111